今で言う新入社員のような人々は、番頭さんと呼ばれ、5年、10年と修行を重ね卒業されます。
ですが、この時点では「まだまだ」で、顔を覚えてもらえる程度です。

ネット上やメディアでは、鑑定とか鑑定士という言葉をよく聞きますが、我々骨董業界の老舗の方々で、鑑定とか鑑定士と名乗られる方はおられません。

独立して10年、20年と営業を重ねても、骨董品の真贋を問う事は難しいものです。
老舗のご主人でも、60歳、70歳になられてもなお本を読み、品物を見て、勉強しておられます。
このように専門分野ですら奥が深く、難しいのが骨董の世界です。

日本の文化芸術を後世に伝える仕事で、世界中のさまざまなお客様がおられます。
ひかえめで、謙虚だからこそ、信頼と信用を得て、老舗として残っておられるのです。

古美術・骨董品店ならではの考え

古美術骨董店を営んでおられる方は、もともと、好きが高じてこの業界に入ってこられた方がほとんどです。

古美術骨董業界は奥が深く分野も広く、専門性や品物の種類によって多くの店があります。
当店がある祇園骨董街でも約80軒の古美術商が集まっています。

古美術商の一番大切な仕事は、文化遺産を後世に伝えることです。
私も若い頃に、先輩から教わりました。

「自分の好きな品物を買っても、自分の物になったのではなく、一時、預かっているので、そのままの状態で、次の世代に伝えることが仕事」