江戸時代は、徳川幕府の安定した政治体制が続いた時代です。鎖国政策により、海外からの影響を受けない、日本独自 の芳醇な文化が、花開き、育まれた時代です。代表的なものが、17世紀から18世紀の初めに、京都や大阪中心に盛隆した、元禄文化です。もうひとつには、18世紀末から19世紀の初めに、江戸を中心に盛隆した化政文化が挙げられます。

元禄文化の特色は、上方の 豪商 や武士を中心に、自由で豪華、洗練された美しさにあります。井原西鶴の好色物や町人物、松尾芭蕉の俳句などがあります。また、絵画の世界では、俵屋宗達や尾形光琳に代表される、大和絵、琳派が花開きました。また、町人に生活を華やかに描いた、菱川師宣の浮世絵などもあります。「見返り美人」はたいへん有名です。また、大阪と言えば、千利休を代表する 茶の湯 の文化も、江戸時代に大きく発展しました。この時期には、財力のある 豪商 や商人に、粋な 数寄者 が大勢おり、大名への献上品、大陸との 交易 や貿易の品として、素晴らしい 茶道具 の 名品 が作られています。また、日本の 陶磁器 は、茶の湯と共に繁栄してきたと言っても過言ではなく、たくさんの素晴らしい 古陶器 がこの時代に作られています。千家十職 のお道具なども素晴らしいものが見られます。

江戸時代の後半には、時代の流れもあり、享楽的で退廃的な文化、皮肉やしゃれが喜ばれる文化が興り始めました。これが、化政文化の特色です。小林一茶、与謝蕪村などの俳句、喜多川歌麿、葛飾北斎、安藤広重などの、浮世絵や美人画、名所絵が挙げられます。また、江戸時代後期には、歌舞伎が 全盛期 を迎え、東洲斎写楽の役者絵などもたいへん人気がありました。また、江戸時代には、煎茶道が始まり、関東地方では、川上不白が煎茶道を広く広めました。黄檗掬泉流、花月菴流など、たくさんの煎茶道の流派が盛隆し、素晴らしい 煎茶道具 も残されています。

江戸時代には、素晴らしい茶道具や 骨董品 が数多く作られました。今では、江戸時代の浮世絵や古陶器はたいへん貴重になり、愛好家 や コレクター にたいへん人気があります。刀装具 や 根付、印籠、櫛・簪など、日本古来 の武家文化や着物の文化に根付いた素晴らしい美術品も多く残されています。